原状回復問題でも、結構皆さんが相談されている消費者センターですが、一部の県で閉鎖の動きがあるのは、非常に残念なことです。以下参考にしてください。
消費者センターは「かまどの煙」
財政難で神奈川県、広島県は閉鎖へ
00/10月4日日経 −足立則夫− から転載
高き屋に登りて見れば煙だつ民のかまどはにぎはひにけり
新古今和歌集にあるこの歌は、仁徳天皇がかまどの煙を見て民の生活を気遣ったという聖帝伝説を伝えている。
今、暮らしの変化を伝える「かまどの煙」的情報が集まる地方行政機関の代表が消費生活センターだ。都道府県や市町村が設置する消費者の苦情・相談窓口なのだが、ここへ来て神奈川県や広島県などが県の苦情・相談窓口を全廃する動きをみせている。神奈川県は八カ所あったセンターを順次、閉鎖中、広島県も来年三月までに三カ所を閉鎖する。ほかにも閉鎖を検討している県がある。いずれも「財政難による組織のスリム化」を狙う県知事の意向を反映した動き、と見られている。消費生活センターが誕生したのが1965年。兵庫県神戸生活科学センター(現在の兵庫県生活創造センター)が第一号、以来、消費者の砦(とりで)として各地に広がり、現在は全国に412カ所ある。
このうち都道府県と政令指定都市のセンター計百カ所と、経済企画庁の外郭団体である国民生活センター
とが、コンピューターネットワーク(全国消費生活情報ネットワーク=PIO=NET)で結ばれ、広域化する悪徳商法や急増する商品被害が直ちにつかめるようになっている。近年とみに消費生活センターの役割が注目されてい
る。一つが消費者への支援機能だ、契約をめぐる苦情や、情報技術(IT)革命など生活の変化に伴う相談の増加。独り暮らしの世帯が多くなることなどによる家族の問題解決能力の低下が顕著になっているからだ。もう一つが生活の変化をキャッチするアンテナ機能だ。変化の激しい時代、国や地方自治体が実効のある政策を立てる際、消費者が寄せる苦情・相談のような生の情報集積が役に立つからだ。
企画庁も、全センターに端末を完備し、PIO-NETをパワーアップするため、来年度予算に二十六億円を概算要求する。
そんな時期の神奈川県や広島県のセンター閉鎖。表向きの理由として、市町村のセンターに相談業務を任せることをあげているが、今ひとつ説得力に欠ける。現状では市町村のセンターは、都道府県のそれに比べると苦情・相談への対応能力がかなり落ちる。
99年度、全国の消費生活センターに寄せられた苦情・相談は六十八万件。そのほぼ半数を都道府県のセンターが受け付けているのが実態だ。
民間の企業でも、消費者の苦情・相談を積極的に商品やサービスの改善に生かし業績を伸ばしている所と、後ろ向きの所との格差が広がっている。都道府県の消費生活センターでも、同様の格差が広がりそうな兆しをみせている。財政難だからといって、一律に行政機関を削減するのではなく、社会の変化に合わせた対応が求められる。地方分権の時代、都道府県の知事には「民のかまどの煙」をいち早くつかむ"センサー"の存在がますます重要になるはずだ。