賃貸トラブルの為の、お薦めの本
先日、
「賃貸住居の法律」
東京弁護士会易水会編著
住宅新報社 1800円
という本を購入しましたがなかなか良く出来た本で、見開き2ページで約130項目が、簡素に説明されています。
契約から用法、賃料問題、明渡しまで全般に渡り 回答ですべて弁護士さんで、要領よくまとめられており、概観をつかむにはうってつけかと思われます。
定期借家契約、適正賃料、競売手続中の明渡請求、賃料の仮差押、オーナーチェンジによる建物譲受人の地位、等今話題の項目を早々取り入れられております。
2000年2月が初版ですので内容、参照判例も新しく、なにより訴訟を前提に、判例を多数記載されているのは、大変参考になりました。
たとえば、原状回復義務に関しては、以下の記載があります。参考に
原状回復義務
Q 賃借家屋の明渡しに際し、畳表の取り替え・裏返し等の費用や内壁汚損などの費用は、原状回復義務として、賃借人の負担となるのでしょうか。
◆…明渡しに際しての賃借人の原状回復義務
賃借人は、明渡しに際し、賃貸家屋を原状に回復させなければなりません(原状回復義務、民法616条による同法597条1項・598条の準用)。しかしながら、ここにいう、「原状」に回復してとは、完全に入居時の状態に戻すことを意味するのではありません、賃貸借契約の目的から、ここにいう「原状」に回復する義務には、賃借物の自然、または使用収益の正常な過程において発生した損耗、摩耗、増減等は含まれないとされています。あくまでも、賃借人の保管義務違反(民法616条による同法601条の準用)等その責めに帰すべき事由によって加えた毀損(汚損)について原状に復せしむ義務ということになります(東京高裁昭31年8月31日刊タ62号70頁)。以上のように、賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられる段損の修繕等の費用は、原状回復義務に含まれず、賃借人の負担とはなりません、賃借人の住まい方、使い方で発生したり発生しなかったりする殴損等(通常の使用収益以外の住まい方等により発生した毀損)について、それを原状に回復する費用が、賃借人の負担とされ、敷金の返還に際し、その費用が減額されることになります。また、賃借人の負担となる毀損等の場合であっても、新賃貸人のために、明渡し時に想定される原状の状態よりもグレード・アップする部分については、賃借人の負担とはなりません。
◆…畳について
畳表の取り替え・裏返しは、畳の段損が、通常、自然の使用により発生したと考えられる場合は、賃借人の負担とはなりません。しかしながら、タバコの焼けこげ等、賃借人の故意または、過失による段損等の場合、その修復の費用は賃借人の負担となり敷金から控除されます。同様のことは、障子紙・襖紙の張り替え、電球・蛍光灯・ヒューズ・給水栓・配水管の取り替え、壁のクロス・ジュウタンの張り替え、風呂釜・給湯器の修繕・交換費用等についても言え、その毀損等が、自然の使用により発生したと考えられる場合は、賃借人の負担とはなりません。また、その毀損等が賃借人の過失等にもとづく場合であっても、賃借人の負担する費用は、その毀損を修復する範囲に限られます。新賃貸人のために、明渡し時に想定される原状の状態より、グレード・アップするため行われる部分(例えば、タバコの焼けこげが付いている畳以外の畳の取り替え・裏返しの部分)については、賃借人の負担とはなりません。
◆…タバコのヤニによる壁・天井の汚れについて
タバコのヤニで壁・天井が毀損した場合、掃除で除去できる程度のヤニについては、賃借人の負担とはならないと考えられますが、これを超え、そのヤニの付着により、住居としての使用が困難となり、壁紙等の張り替えが必要な場合等は、賃借人の責めに帰すべき事由によって生じたと考えられる場合が多く、毀損の除去に必要な範囲で、賃借人の負担となり敷金から控除されることになると考えられます。
◆…カビによる壁・天井の汚れについて
結露によって発生したカビで汚れた場合、結露の原因は、主に建物の構造的なものですので、その賃貸家屋で通常、生じる程度のカビについては、たとえ、それにより、壁紙の張り替えが必要になったとしても、賃借人の負担とはならないと考えられます(名古屋地裁平成2年10月19日判時1375号117頁)。しかしながら、カビの拡大等について賃借人に過失等がある場合、例えば、結露が発生しているにもかかわらず、賃貸人に通知せず、かつ拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合には、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多く、このような場合には、その部分については、賃借人の負担となると考えられます。