「借家を出たら敷金が戻らない」、「多額な修理費を請求された」
−−−賃貸住宅から転出する際、貸主に保証金として預けていた敷金の返還をめぐって、全国でトラブルが相次いでいる。貸主側がいたんだ個所の原状回復を名目に、敷金の修繕代金に充ててしまい、返さないケースが多発しているためだ。
不動産適正取引推進機構が集計した全国の国民消費者センターなどに寄せられた賃貸住宅の敷金や原状回復に関する苦情・相談件数はバブル経済崩壊後の1992年頃から急増し、96−97年度は700件程度(97年度は推計値)で推移している。
このようにトラブルが増加している原因について、建設省では、「ここ数年の借り手市場の中で新品同様にリフォームしないと入居老が募集できない現状があり、貸主が補修費用をかけてより新品に近づけようとしている」と指摘。また、ある宅建業者は「家主獲得のために修繕費用を家主に負担させず、借り主にかぶせる傾向がでている」と分析している。
ただ、「賃貸住宅の契約はあくまで個人同士」(建設省民間住宅課)であり、貸主と借り主の間で協議するのが基本で、原状回復の対応はバラバラで全国統一の明確な基準やルールが存在しない点がトラブルの最大理由ともいえる。建設省は93年に作成した賃貸住宅契約のガイドライン「賃貸住宅標準契約書」で明け渡しの際の借り手の原状回復義務をうたう一方、日焼けなど通常使用で生じた損耗は免除されるとしている。だが、どこまでを自然損耗とみるかは明確ではない。
そこで建設省はこの六月、不動産適取機構に委託して、トラブルになりそうな事例について標準的な考え方を例示した居室の原状回復のガイドラインをまとめた。
業界の反応は、
「今後独自の指針を作成する際に十分に参考にしたい」(林宝良忠・全国宅地建物取引業協会連合会副会長)。
「貸し左への説得が難しい状況の中で説得材料として有効なツールになる」関輝夫・日本賃貸住宅管理業協会原状回復委員会委員長〕と、一応の評価をしている。
それでも「通常の使用による損耗分」の解釈はいまひとつ分かりにくい。貸主と借家人との問に立つ賃貸管理業者は現実にはどのような方策を用いているのだろうか。
最も普及しているやり方は入居者が退去時に原状回復すべき住宅の個所をあらかじめ定めておいて、
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